マクロ経済シミュレーター

AD-AS分析(総需要・総供給)を中心に、政策金利・インフレ期待・財政・為替・コストのパラメーターをスライダーで動かして、日本経済の動きをグラフのシフトで観察するページです。「日銀が利上げするとどうなる?」「円安が進むと物価とGDPはどちらへ動く?」を、教科書のモデルそのままの図で確かめられます。補助のIS-LM分析(クラウディングアウトの図解つき)と、日本のフィリップス曲線をテイラー展開で読み解くコラムも用意しました。

シナリオを選んで動きを見る

スライダーを動かすか、シナリオボタンを押すと曲線がシフトします。灰色の破線が初期位置です。

9010011090100110実質GDP(指数、100=基準)物価水準(指数)AS(長期)AS(短期)AD均衡
AD(総需要)AS(短期総供給)AS(長期・潜在GDP)初期位置

均衡GDP(指数)

100.0

基準=100

GDPギャップ

0.0pt

対 潜在GDP

物価水準の変化

0.0%

対 基準時点

実質金利の目安

-1.0%

政策金利−インフレ期待

需要側(ADを動かす)

供給側(ASを動かす)

モデルの数式

曲線の成り立ち(教科書の構造式)

ADの背後(財市場+貨幣市場):

Y = C + I + G + NX

C = C₀ + c×(Y - T) (消費関数: 基礎消費+可処分所得に比例)

I = I₀ - b×r (投資関数: 利子率が上がると投資は減る)

NX = EX - IM (純輸出: 為替FXで変動)

P↑ → M/P↓ → r↑ → I↓ → Y↓ …… ADが右下がりになる理由

AS(短期)の背後(価格・賃金設定):

P = Pᵉ + λ×(Y - Y*) (期待物価Pᵉ+需給ギャップに応じた価格設定)

AS(長期)の背後(生産関数):

Y* = F(L, K, A) (労働L・資本K・生産性Aで決まる供給力)

A↑(AI等の技術革新) → Y*が右へ&単位コスト低下で短期ASも下へ

一般式

AD : P = a₀ - 1.0×(Y - 100)

a₀ = 100 - 2.2×(i - 0.5) + 1.8×(πᵉ - 1.5) + 0.8×G - 0.4×λc×T + 0.8×ΔI₀ + 0.06×FX

AS(短期): P = s₀ + 0.8×(Y - 100)

s₀ = 100 + 1.5×(πᵉ - 1.5) + 0.08×FX + 0.10×IMP + 1.2×(w - 1.0) - 0.8×q

AS(長期): Y = Y* + q

均衡 : Yₑ = 100 + (a₀ - s₀) / (1.0 + 0.8)

Pₑ = a₀ - 1.0×(Yₑ - 100)

現在のスライダー値を代入した式

a₀ = 100 - 2.2×(0.50 - 0.5) + 1.8×(1.5 - 1.5) + 0.8×0.0 - 0.4×1.0×0.0 + 0.8×0.0 + 0.06×0 = 100.0

s₀ = 100 + 1.5×(1.5 - 1.5) + 0.08×0 + 0.10×0 + 1.2×(1.0 - 1.0) - 0.8×0.0 = 100.0

AD : P = 100.0 - 1.0×(Y - 100)

AS(短期): P = 100.0 + 0.8×(Y - 100)

AS(長期): Y = 100.0 + 0.0 = 100.0

均衡 : Yₑ = 100 + (100.0 - 100.0) / 1.8 = 100.0

Pₑ = 100.0 - 1.0×(100.0 - 100) = 100.0

i=政策金利、πᵉ=インフレ期待、G=政府支出の変化、T=税の変化(+が増税、係数0.4は限界消費性向0.5×支出係数0.8)、λc=減税・増税が消費に回る割合(0なら全額貯蓄)、ΔI₀=独立投資(投資マインド)の変化、FX=為替(+が円安)、IMP=輸入物価・エネルギー、w=名目賃金の上昇率、q=生産性(AI・技術革新)の変化、Y*=潜在GDP(人口・労働力等のベース。長期ASの位置は Y*+q)。構造式のC₀=基礎消費、c=限界消費性向、T=税、I₀=独立投資、b=投資の金利感応度、λ=価格の需給感応度。一般式は構造式を「切片のシフト」の形に縮約したもので、GDP・物価は基準時点=100の指数、係数は概念を示すための仮の値です。

不動産投資への示唆(定性的な方向感)

→ ほぼ中立住宅ローン・調達金利政策金利とインフレ期待の変化から
→ ほぼ中立建築費・修繕費輸入物価・賃金・為替のコスト面から
→ ほぼ中立賃料・稼働GDPギャップ(景気の過熱・冷え込み)と物価から
→ ほぼ中立不動産価格賃料の上昇圧力と金利上昇(利回り要求)の綱引きから

※ 教科書モデルからの機械的な読み替えによる方向感であり、実際の市場動向や個別物件の予測ではありません。

グラフの読み方

AD(総需要)曲線

家計の消費・企業の投資・政府支出・輸出の合計。政策金利の引き下げ、インフレ期待の上昇、財政出動、円安などで右(GDP拡大方向)へシフトします。

AS(短期総供給)曲線

企業の生産コストを反映した供給側の曲線。原油・資材など輸入物価の上昇、賃金の上昇、インフレ期待の上昇で上(物価上昇方向)へシフトします。

AS(長期総供給)=潜在GDP

労働力や生産性で決まる経済の実力値で、垂直な線として描かれます。短期の均衡が潜在GDPより右なら景気過熱(インフレギャップ)、左なら需要不足(デフレギャップ)です。

なぜ不動産投資にマクロ経済か

不動産の収支は、ローン金利(金融政策)、建築費・修繕費(輸入物価・賃金)、賃料や稼働(景気・物価)といったマクロ変数の影響を強く受けます。個別物件の目利きの前に「いま経済がどのフェーズにあり、金利とコストがどちらへ向かいやすいか」という環境認識を持つための頭の体操として、このシミュレーターを公開しています。

※ 本ページは教科書モデルを簡略化した教育・学習用コンテンツです。パラメーターの係数は概念を示すための仮の値であり、経済予測・投資助言ではありません。